視覚に障がいのあるパラトライアスリートの「もう一つの目」となり、勝利を目指して共に駆け抜ける存在――それがガイドです。横浜の舞台で石橋健志さんが見せたのは、ただの伴走ではなく、信頼と呼吸を重ねた “二人三脚の挑戦” でした。
大会概要
大会名:ワールドトライアスロンパラシリーズ(2021/横浜)エイジパラトライアスロン
開催日:2021年5月16日(日)
開催地:神奈川県横浜市
競技:スイム750m(1周回)、バイク20km(10km×2周回)、ラン5km(1周回)
ガイドとは?
パラトライアスロンのPTVIにおけるガイドは、視覚に障がいのある選手にとって“もう一つの目”であり、共に戦うパートナーです。レースを通して常に隣に寄り添い、声や動きで状況を伝えながら、選手と息を合わせてゴールを目指します。

- スイム:選手とガイドはロープで結ばれ、呼吸を合わせて泳ぎます。ガイドの声で進行方向や周囲の状況を伝えながら、安全かつスムーズに前へ進みます。
- バイク:二人乗りのタンデム自転車では、前がガイド(パイロット)、後ろが選手(ストーカー)。ペダルを力強く回し、息をそろえながらスピードと安定性を保ち、コースを駆け抜けます。
- ラン:伴走ロープを握り合い、声やリズムで呼吸を合わせながら走ります。障害物や路面状況を伝え、選手が安心してゴールに向かえるよう導きます。
ガイドは単なる伴走者ではなく、選手と信頼を築き、同じ距離をともに走り抜く“影のアスリート”。二人が築く絆こそが、PTVIのレースにおける最大の魅力であり、観る人の胸を熱くする瞬間を生み出します。
ガイドプロフィール
石橋健志
小学生の頃、両親の影響でトライアスロンを始める。中学・高校では野球部に所属するも、同志社大学で再びトライアスロンに挑戦。コーチ不在の中、独学で競技を学び、全国大学トライアスロン選手権で個人5位入賞、団体優勝を果たすほか、お台場での日本選手権も3年連続完走。
大学卒業後はロング・ミドルディスタンスを中心に活動し、世界選手権出場や国内各地の大会で上位入賞を重ねる。並行して、NSIトライアスロンスクールで6年半にわたり指導に携わり、累計3,000回以上の指導経験を積む。現在はIRONMAN世界選手権でのエイジ優勝を目指すとともに、トライアスリートの身近な憧れとなる存在を目指している。

レースレポート
私が樫木選手のガイドの話を受けたのは2019年の千葉シティトライアスロン。しかし、台風が来て中止。昨年は大会が無く、今回の横浜でようやくデビュー戦を迎えられました。樫木選手とは月2回ほど一緒に3種目の練習をしています。でも練習はあくまでも練習。本番はどうなるか分からないので、不安ではありましたがその分楽しみでもありました。
- スイム
スイムはいつもより水の抵抗が増えるので腕にかかる負担が大きくなり普段より体力を奪われます。ただ、ストロークのテンポを上手く合わせられると、効率良く推進力を得られる為、樫木選手の動きを横目で見ながら合わせにいきます。その他にもブイを回る際に肩を叩いたり、順調に泳げているかを確認したりと、意識しないといけない点が多く、気が付けば750mを泳ぎ切っていました。


- バイク
実際にコーナーでどれくらい減速するのか?脚はいつ止めるのか?路面の段差はどうなっているのか?など色々な事を声掛けしながら走っていきます。今回は交通規制の関係で事前にコース下見が出来ず、ぶっつけ本番でコースを走らないといけませんでした。そのため、1周目でペースを上げながらもコースを確認して、コーナーの曲がり方など覚えていく必要がありました。10kmを2周回だったので、1周目で得た情報をしっかり2周目に活かしていきました。2周目に手元の時計で後続の選手との差を測ると30秒ほど差を広げる事に成功しました。ですが、最後の最後で降車ラインを間違えるミスを犯してしまいました。パラの降車ラインは一般のラインよりも100mくらい奥だったのですが、間違えて一般のラインで一度停車してしまい、そこから再スタートを切ってとかなりロス。これはレース前にしっかりと確認しておくべきポイントだったのに怠ってしまいました。パラトライアスロンは距離がスプリントで1秒が大切になってくるので今後はこのようなミスがないように次回から気を引き締めて準備します。


- ラン
トランジッションで靴を履く際にふくらはぎが攣ってしまい、ランスタート時がかなりピンチでした…。足を引っ張るわけにはいかないプレッシャーから最初の1kmは誤魔化しながらのランニングでした。しばらく走っていると足も戻ってきたので、少し余裕を持ち、コース案内などきっちりガイドをしながら走っていきます。ですが、横浜のコースはかなりテクニカルで細かいカーブやUターンが多く道も狭かったです。実際に指示が遅れてコースオーバーする場面も多々ありました。この辺りを上手くやっていくと、まだまだタイムは伸ばせたと思います。ちなみに樫木選手はバイクを降りた時に脚が攣ったそうですが、トランジッション中に治ったようです。脚を攣るタイミングは合わせられませんでした(笑)。
今回初めてガイドをやって、普段の自分自身のレースにはない難しさを感じると同時に、自分だけではない達成感がありました。走っているリズムや息遣いから相手の状態を把握して、ペース配分をしていく感覚は普段では味わえないです。もっとパラのレースが増えていくと良いのですが、現在はなかなかレースも少なく、レース環境を整えるのも難しいです。パラの部を盛り上げていくためにも競技志向だけでなく、トライアスロン自体を楽しむ方が増えてくるように私自身も活動して行けたらと思います。
まとめ
選手とガイドが支え合いながら前へ進む姿は、パラトライアスロンの大きな魅力です。このレポートが、ガイドとして関わる楽しさを知るきっかけになれば嬉しく思います。「やってみたい」と感じた方は、どうぞ気軽にご相談ください。その一歩が、新たな挑戦につながります!


