初めてのロングに挑むパラリンピアン、円尾敦子さん。かつてはパラトライアスロンのエリートで活躍していた彼女が、ガイドと共に泳ぎ、バイクを駆け抜け、ランで力強くゴールを目指す。挑戦と感動のレースの全貌を、ぜひご覧ください。
大会概要
大会名:第40回全日本トライアスロン皆生大会
開催日:2022年7月17日(日)
開催地:鳥取県米子市
競技:スイム3km(1.5km×2周)、バイク115km、ラン32km
※当日は波が高くスイムが中止となり、代わりにラン6.9kmが行われました(デュアスロン形式)。
PTVI2とは?
パラトライアスロンのPTVIは、視覚に障がいのある選手のためのカテゴリーです。視力や視野の状態によって PTVI1・PTVI2・PTVI3 の3つのクラスがあります。このカテゴリーの特徴は、選手が常にガイド(Guide) とともにレースへ挑むことです。
- スイム:選手とガイドがロープでつながり、息を合わせて同じリズムで泳ぐ
- バイク:2人乗りのタンデムバイクに乗り、ガイドが前、選手が後ろで走行する
- ラン:再びロープで並走し、声を掛け合いながら一緒にゴールを目指す
選手とガイドが息を合わせて進とガイドが息を合わせて進む姿は、強い信頼と絆が感じられる、PTVIならではの大きな魅力です。
※皆生大会はパラカテゴリーがないため、円尾さんは一般の部で出場しました。
選手プロフィール
円尾敦子(2017年まで旧姓:山田)
- 視覚障がい(弱視)のトライアスリート
- リオ2016・東京2020パラリンピック日本代表
- 現在はロングディスタンスへ転向し、IRONMAN KONA出場を目指す
- パラトライアスロンの普及活動にも力を入れている
レースレポート
- 準備と意気込み
パラリンピックへの挑戦以前からマラソンには挑戦してきました。東京パラリンピック後に、バイクやスイムの長時間練習を増やすようにしていきました。あとはガイドさんや友達に、ロングに必要な補給を相談したりしました。とにかく視覚障害が初参加(タンデムが初参加)なので、事故なく安全に、必ず完走したいという強い思いで臨みました。
- タンデムバイクの運搬方法
ハイエースに改造をしてもらって、タンデムを載せてガイドも乗って長距離遠征にも快適に対応できるような工夫をしています。前後輪をはずして、ミノウラ製の機材を組み合わせて夫が作った台に固定して運搬しています。海外遠征など、飛行機移動の場合には、こちらも夫が作った特製タンデムケース(キャリー付き)を使用しています。こちらはしっかりしたつくりなので、海外の航空会社の扱いでも今までいろいろ遠征に行って一度もバイクに傷がついたことはありません。
- ガイドとのコミュニケーション
こちらはスプリントでもやっていたことを同じようにやってもらいました。違うとしたら、お互いに補給をしたりトイレに行ったり、そういうのも競技時間に反映されていくんだなと感じたことくらいです(スプリントでガイドさんが補給するのは水分くらいだったし、レース中にトイレに行くこともないので)。


- レースを終えて
初ガイドの小原千絵さん、絵梨さんは、初めてと思えないほどしっかりサポートしてくれました。私は朝5時にトランジションエリアでスイムがなくなったと聞き、動揺してバイクに補食を忘れる大失態をしてしまい、またランの最初の10キロも調子に乗って速いペースで走ってしまったために、残り15キロは吐き気との戦いでした。そんな私をずっと励ましてくれたガイドのお二人には本当に感謝しています。


また、沿道の皆さんやボランティアの皆さん、大会関係スタッフ、みなさんがあたたかく応援してくれて、たくさん力をもらいました。私は鳥取大学出身で、米子市に7年くらい住んでいましたので、当時別の夢を抱いてがんばっていた自分、そこから挫折してトライアスリートとしてこの地に戻ってきた自分を思い返しながら、その当時お世話になった方々からもパワーをいただいてがんばり切れたと思います。今度こそは元々の距離でスイムがある皆生大会に挑戦したいと思いますし、今回の反省を活かしてもっと良いレースができるように出直してきたいと思います。
まとめ
サポートを受けながら挑戦する中で生まれる一体感と、会場を包む温かな雰囲気――それがこの競技の大きな魅力です。トライアスロンは障がいの有無に関わらず、挑戦する気持ちを受け止めてくれます。この喜びを、ぜひ多くの方に味わってほしいと思います。

